【オレンジのリングと、愛犬との別れ】

2023年2月認知症サポーター養成講座の三日前、愛犬のティナが静かに旅立ちました。
17年という長い年月、私のそばにいてくれた存在がいなくなるというのは、こんなにも心にぽっかりと穴があくものなんですね。
ごはんの時間に台所に来ない。朝、散歩のリードを手に取っても、誰も喜んで駆け寄ってこない。
小さなことのひとつひとつが胸に響き、涙がこぼれてしまいます。

そんな中、私は「認知症サポーター養成講座」に参加しました。
数ヶ月前から申し込んでいた講習で、キャンセルも考えましたが……ティナが最後まで私に寄り添ってくれたように、今度は私が誰かの力になれたらと、予定通り足を運ぶことにしました。

講習では、認知症の方がどのように世界を感じているか、家族や地域にできるサポートとは何か、たくさんのことを学びました。
中でも心に残ったのは、「できないことを数えるよりも、できることに目を向ける」という言葉です。
それは、まるでティナが教えてくれたことと重なっているように思えました。年をとって歩くのがゆっくりになっても、ごはんを食べるのが遅くなっても、ティナは最後まで私に笑顔をくれていた。
できることを大切にして生きる――そんな姿を見せてくれていたんですよね。

講習の最後に渡された「オレンジリング」。
それは、小さなバトンのようにも思えました。
私の悲しみの中に、少しだけ光を灯してくれた気がします。

読んでくださっているあなたも、きっと日々、たくさんの思いや迷いの中で過ごしておられることと思います。
でも、ひとりじゃないです。私もそうやって、誰かに支えられ、また誰かを支える側になろうとしています。
今日もどうか、穏やかな時間が少しでも多く訪れますように。

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