介護離職を避けるために：仕事と介護の両立を成功させる秘訣
「介護のために仕事を辞めざるを得なかった」という声は、今や決して珍しくありません。私も母の介護が始まった時、仕事と介護の両立に大きな不安を感じました。しかし、適切な情報収集と支援の活用、そして周りとの連携によって、介護離職を避け、働き続けることができました。
この記事では、仕事と介護の両立を成功させるために、私が実践してきた秘訣と、利用できる制度やサービスについて、具体的な経験を交えながらご紹介します。
1. 介護離職のリスクを認識する
介護離職は、収入の減少だけでなく、キャリアの中断、社会との繋がりが希薄になるなど、介護者自身の生活に大きな影響を与えます。
- 経済的影響: 収入の途絶えや減少は、家計に直接的な打撃を与えます。特に老後の生活設計にも影響を及ぼします。
- キャリアの中断: 再就職の難しさや、キャリアパスの変更を余儀なくされる可能性があります。
- 精神的負担: 介護と仕事の両立は困難を伴いますが、離職することで社会的な孤立感や、自己肯定感の低下に繋がることもあります。
私の場合、介護が必要になった当初から、「仕事を辞めない」ということを強く意識していました。それが、経済的な安定だけでなく、私自身の精神的な支えにもなると感じていたからです。
2. まずは職場に相談する：利用できる制度を確認
介護と仕事の両立を考える上で、最初にすべきことは、職場の担当者や上司に相談することです。
- 介護休業・介護休暇:
- 介護休業: 家族1人につき通算93日まで、3回を上限に取得可能。介護休業給付金も支給されます。
- 介護休暇: 家族1人につき年5日（2人以上なら年10日）まで、時間単位で取得可能。急な通院や介護の付き添いなどに活用できます。
- 短時間勤務制度: 会社によっては、介護を理由とした短時間勤務制度がある場合があります。
- フレックスタイム制度・テレワーク: 勤務時間や場所の柔軟な調整ができる制度があれば、介護との両立がしやすくなります。
ポイント: 介護の状況や、今後必要になりそうなこと（例：週に数時間の通院付き添い、急な体調不良への対応など）を具体的に伝えましょう。
実例: 私の職場では、介護休暇を時間単位で取得できる制度があったため、母の定期的な通院や、急な呼び出しに対応できました。また、上司に状況を共有していたことで、理解を得やすく、精神的に非常に助けられました。
3. 介護保険サービスを最大限活用する
仕事と介護の両立には、外部サービスを最大限に活用することが不可欠です。
- デイサービス・デイケア: 日中の間、要介護者を施設に預けることで、その間仕事に集中できます。
- 訪問介護・訪問看護: 自宅で専門家が介護を行うことで、介護者の負担を軽減できます。
- ショートステイ: 数日間の休息を取ることで、出張や自分の体調不良時に介護を任せられます。
- 福祉用具貸与・住宅改修: 自宅の環境を整えることで、介助の負担が減り、要介護者の自立を促します。
実例: 母が週3回のデイサービスに行っている間、私は日中の業務に集中できました。また、ショートステイを利用することで、急な出張や、自分自身の体調を崩した際に安心して仕事を休むことができました。
4. 地域・外部サービスとの連携を強化する
職場だけでなく、地域の支援機関や民間サービスも積極的に活用しましょう。
- 地域包括支援センター: 介護全般の相談窓口であり、ケアプラン作成や利用できるサービスの紹介をしてくれます。
- 介護保険外サービス: 介護保険では賄えないニーズに対し、家事代行や配食サービスなどを利用することで、介護者の負担を軽減できます。
- 介護者の会・交流会: 同じ境遇の仲間と情報交換したり、悩みを共有したりすることで、精神的な支えになります。
- 介護タクシー: 病院への送迎など、交通手段の確保に役立ちます。
5. 自身の心身の健康を最優先にする
介護と仕事の両立は、介護者自身の心身に大きな負荷をかけます。
- 休息を意識的にとる: 短時間でも良いので、介護や仕事から離れる時間を作りましょう。
- 完璧を目指さない: すべてを一人で抱え込もうとせず、周りの助けを借りることに罪悪感を持たないでください。
- 相談できる相手を持つ: 家族、友人、職場の同僚、専門家など、自分の気持ちを話せる相手を持つことが大切です。
- 企業内での介護相談窓口: 大企業によっては、企業内に介護に関する相談窓口を設けている場合もあります。
まとめ
介護離職は、経済的にも精神的にも大きな影響を与えます。しかし、職場との連携、介護保険サービスの最大限の活用、地域や外部サービスとの連携、そして何よりも自分自身の心身の健康を最優先にすることで、仕事と介護の両立は十分に可能です。
一人で抱え込まず、あらゆる支援を活用し、あなたの生活とキャリアを守っていきましょう。
