知っておきたい介護施設の種類と選び方:後悔しないためのポイント
自宅での介護が難しくなってきた時、あるいは将来に備えて、介護施設の入所を検討する時期が来るかもしれません。しかし、介護施設と一口に言っても、その種類は非常に多く、それぞれ特徴が異なります。どの施設が自分や家族にとって最適なのか、選ぶのは至難の業です。私も母の施設入所を検討した際、その種類の多さに混乱しました。
この記事では、代表的な介護施設の種類とその特徴、そして後悔しない施設選びのための重要なポイントを、私の経験を交えながら詳しく解説します。
1. 主な介護施設の種類と特徴
介護施設は、大きく分けて「公的施設」と「民間施設」があり、それぞれ提供サービスや費用、入居条件が異なります。
【公的施設】 比較的費用が安価で、待機期間が長い傾向にあります。
- 特別養護老人ホーム(特養):
- 特徴: 公的な介護施設で、常に介護が必要な要介護3以上の高齢者が対象。終身利用が可能で、看取りまで対応するところが多い。費用が安いのが最大の魅力ですが、入居待ちが非常に長いのが現状です。
- こんな方におすすめ: 長期的な入所を希望し、経済的な負担を抑えたい方。
- 介護老人保健施設(老健):
- 特徴: 病状が安定し、リハビリテーションを中心とした医療ケアが必要な高齢者が対象。在宅復帰を目指すため、原則として3ヶ月〜6ヶ月程度の期限付き入所となります。
- こんな方におすすめ: 退院後のリハビリ目的、在宅復帰を目指したい方、一時的な介護負担軽減(レスパイト)目的の方。
- 介護医療院:
- 特徴: 長期的な医療と介護の両方を必要とする高齢者が対象。医療ニーズが高い方でも安心して過ごせるよう、医療機能と生活施設としての機能を兼ね備えています。
- こんな方におすすめ: 医療依存度が高く、病院から退院後も継続的な医療ケアが必要な方。
【民間施設】 公的施設に比べ費用は高めですが、サービスが多様で、待機期間が短い傾向にあります。
- 有料老人ホーム:
- 特徴: 介護付、住宅型、健康型の3タイプがあります。
- 介護付有料老人ホーム: 施設内で介護サービスを受けられます。要介護度が高くなっても住み続けられることが多いです。
- 住宅型有料老人ホーム: 生活支援サービス(食事、清掃など)が中心で、介護が必要になった場合は外部の介護サービスを契約して利用します。
- 健康型有料老人ホーム: 自立した高齢者向けで、介護が必要になったら退去が原則です。
- こんな方におすすめ: 費用負担は増えても、手厚いサービスや、レクリエーション、医療連携を重視したい方。
- 特徴: 介護付、住宅型、健康型の3タイプがあります。
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):
- 特徴: バリアフリー構造の賃貸住宅で、安否確認と生活相談サービスが必須。食事提供や生活支援サービスをオプションで選べるところが多いです。比較的自立した高齢者から軽度の要介護者が対象。
- こんな方におすすめ: 比較的元気で、必要な時に安否確認や生活支援を受けたい方。
- グループホーム:
- 特徴: 認知症の診断を受けた高齢者が、少人数(5〜9人)で共同生活を送る施設。なじみの関係の中で、認知症の進行を緩やかにすることを目指します。地域密着型サービスの一つです。
- こんな方におすすめ: 認知症があり、家庭的な雰囲気の中で穏やかに暮らしたい方。
2. 後悔しない施設選びのためのチェックポイント
多くの施設を見学し、比較検討することが重要です。
- 費用: 入居一時金(必要な場合)、月額費用(家賃、食費、管理費、介護サービス費など)を明確に把握し、無理のない範囲かを確認しましょう。
- 介護・医療体制: 看護師や介護士の配置人数、夜間の体制、医療機関との連携、緊急時の対応などを確認しましょう。看取り対応の有無も重要です。
- 入居条件: 要介護度、認知症の有無、医療処置の必要性など、本人が入居条件を満たしているか確認しましょう。
- 立地: 家族が訪問しやすいか、周辺環境(病院、スーパーなど)はどうか。
- 施設の雰囲気と清潔感: 実際に施設を訪れ、職員の対応、入居者の表情、施設の清潔感、明るさなどを自分の目で確認しましょう。
- 私が重視した点: 母の場合、認知症があったため、特にスタッフの接し方や、他の入居者さんの様子をよく観察しました。アットホームな雰囲気で、レクリエーションが活発な施設を選びました。
- 食事内容: 食事の献立、刻み食や流動食などの対応、アレルギー対応、試食の有無などを確認しましょう。
- レクリエーション・イベント: 本人が楽しめるような活動があるか、外出の機会はあるか。
- 退去条件: どのような場合に退去を求められるのか、事前に確認しておくことが大切です。
- 入居者の声: 可能であれば、既に入居している方やその家族の声を聞いてみるのも参考になります。
まとめ
介護施設の選択は、本人と家族のこれからの生活を大きく左右する重要な決断です。施設の種類ごとの特徴を理解し、入居費用、介護・医療体制、施設の雰囲気、立地など、多角的な視点からじっくりと比較検討しましょう。
後悔しない施設選びのために、手間を惜しまず、納得のいくまで情報収集と見学を重ねることが、何よりも大切です。