親に介護が必要だと気づいたら?最初にやるべきことと心の準備
介護は、ある日突然、誰の身にも降りかかる可能性があります。親の様子がおかしい、以前と違うと感じた時、戸惑いや不安に襲われるのは当然です。私自身、母の介護が始まった時、何から手をつければいいのか分からず、途方に暮れた経験があります。
でも、安心してください。この記事では、私が6年間の介護生活で学んだ「介護の始まり」に直面した時に、まず何をすべきか、そして心の準備について、具体的なステップと共にお伝えします。
1. まずは「異変」に気づくこと
介護の始まりは、明確なサインがないことも多いです。母の場合も、少しずつ変化がありました。
- 身体的な変化: つまづきやすくなった、歩くのが遅くなった、食事の量が減った、顔色が悪くなったなど。
- 精神的な変化: 忘れ物が増えた、同じ話を繰り返す、怒りっぽくなった、無気力になったなど。
- 生活の変化: 部屋が散らかるようになった、身だしなみに無頓着になった、買い物ができなくなったなど。
こうした小さな変化を見過ごさないことが大切です。「年だから仕方ない」と片付けず、「いつもと違うな」と感じたら、注意深く観察してみてください。
2. 家族で話し合い、現状を共有する
一人で抱え込まず、まずは家族(兄弟姉妹、配偶者など)と現状を共有することが重要です。
- 具体的な異変を伝える: 「最近、〇〇な様子で心配だ」と具体的に伝え、他の家族も同じように感じているか確認しましょう。
- 役割分担の検討: 誰が中心となって介護を進めるか、経済的な負担はどうするかなど、初期段階で話し合っておくと、後々のトラブルを防ぐことができます。
- 本人の意思確認: 可能であれば、本人の意思も尊重し、「どうしたいか」を尋ねる姿勢が大切です。しかし、本人が認知症などで明確な意思表示が難しい場合もあります。その際は、これまでの生活ぶりや価値観を考慮して話し合いましょう。
私の場合は、当初は私が一人で抱え込みがちでしたが、途中から兄弟にも状況を共有し、役割分担することで、精神的な負担が大きく軽減されました。
3. 市区町村の窓口に相談する(地域包括支援センターが第一歩)
介護のプロに相談することが、最も早く、そして適切な支援につながる第一歩です。どこに相談していいか分からない場合でも、迷わず地域包括支援センターを訪ねてください。
- 地域包括支援センターとは?: 高齢者の生活を地域で支えるための総合相談窓口です。保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員などの専門職が配置されており、介護に関するあらゆる相談に乗ってくれます。
- どんな相談ができる?:
- 介護保険の申請方法
- 利用できるサービスの種類
- 介護の悩みや不安
- 健康や医療に関する相談
- 詐欺被害や虐待の相談
- 相談のメリット: 無料で利用でき、専門家が客観的な視点からアドバイスをくれます。また、地域の介護サービスの情報にも詳しいので、あなたに合った支援を見つける手助けをしてくれます。
私は最初にどこに相談すればいいか分からず、時間を無駄にしてしまいました。今思えば、すぐに地域包括支援センターに行けばよかったと強く思います。彼らは介護の「道しるべ」となってくれる存在です。
4. 介護保険サービスの利用を検討する
介護保険サービスは、要介護認定を受けることで利用できる公的なサービスです。サービスの利用は、本人だけでなく介護者の負担を軽減するためにも非常に重要です。
- 要介護認定の申請: 市区町村の窓口や地域包括支援センターで申請できます。
- 訪問調査と主治医意見書: 申請後、調査員が自宅を訪問して心身の状態を確認し、主治医が意見書を作成します。
- 認定結果: 要介護度(要支援1〜2、要介護1〜5)に応じて、利用できるサービスの種類や支給限度額が決まります。
母は当初、デイサービスを嫌がりましたが、体験利用を重ねるうちに楽しんでくれるようになりました。外部のサービスを上手に活用することが、在宅介護を続ける上で不可欠だと痛感しました。
5. 心の準備と自分を労わること
介護は長期戦になることが多く、精神的、肉体的な負担が非常に大きいです。
- 完璧を目指さない: すべてを一人で抱え込まず、外部のサービスや家族の手を借りることをためらわないでください。
- 休息をとる: 介護者の心身が健康でなければ、介護を続けることはできません。ショートステイなどを利用して、意識的に休息の時間を設けましょう。
- 情報収集: 介護に関する知識は、不安を和らげ、適切な判断を下す助けになります。
- 介護者の会などに参加する: 同じ境遇の人と話すことで、共感を得られ、孤独感が和らぎます。
私も介護中は自分のことを後回しにしがちでしたが、母を看取った今、もっと自分を労わってあげればよかったと後悔しています。あなたは一人ではありません。
まとめ
親に介護が必要だと気づいた時、まずは家族で話し合い、地域包括支援センターに相談することが大切です。そして、利用できる介護保険サービスを最大限に活用し、何よりも自分自身の心と体を大切にしてください。
あなたの介護生活が少しでも楽になるよう、この経験が役立つことを願っています。